ミリタリーテクノロジーの物理学〈核兵器〉

ミリタリーテクノロジーの物理学〈核兵器〉

多田将

極小の世界が生み出す、極大の破壊力。
人類史上最強の兵器を、純粋に物理学の側面から解明する。

定価
836円(本体760円+税10%)
ISBN
9784781680057
JANコード
1920242007607
NDC分類
429
発売日
2015年7月8日
判型
新書判  
製本
ページ数
192ページ
カテゴリー
サイエンス

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
20世紀の科学者たちが開発し、実戦に投入された、想像を絶する軍事技術の数々。中でも核兵器は人類に大転換をもたらした。本書は、政治的・倫理的な是非は一切問わず、純粋に物理学の観点から、その凄まじいメカニズムに迫っていく。原子核が膨大なエネルギーを生み出す仕組みから、兵器に利用する際の設計方法、冷戦時代につくり出された究極の産物まで、直視しなければ見えてこない「核」の本当の姿を、素粒子物理学者が描き出す。

多田将(ただ・しょう)
1970年大阪府生まれ。京都大学理学研究科博士課程修了。京都大学化学研究所非常勤講師を経て、現在、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。著書に『すごい実験――高校生にもわかる素粒子物理の最前線』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』(すべてイースト・プレス)がある。
はじめに

第1章 原子核
兵器と物理学の関係
その男は、東海村からやって来た
原子力施設の熔接技術によってつくられた戦車
原子と原子核のサイズ 全ての物質は、陽子と中性子の組み合わせの違いで出来ている
錬金術、華麗に復活!
同位体とは何か?
アメリカではウランを15ポンドまでなら所持してもよい
アメリカではポロニウムが売られている?
静電気除去ブラシのつくり方
近づき過ぎるより、少し離れたほうが愛の力は強くなる?
水滴と原子核 

第2章 核融合と核分裂
原子核を剥き出しにする
すぐにくっつかないカップルをくっつけるには?
重水素と三重水素の核融合、D‌T反応
不安定の一歩手前の原子核を、不安定な原子核にする
電荷を持たない中性子は、容易に原子核に近づける
ヨウ素を飲め!
原子核を結びつけていた力が、外に解放される
爆薬に比べて、桁違いのエネルギーが放出される
核燃料として相応しい物質とは?
分裂一歩手前のウランとプルトニウム
中性子の速度が、核分裂の起こり易さを左右する

第3章 連鎖反応
核分裂の連鎖反応
制御棒の出し入れで、
中性子の量をコントロールする
未臨界状態と超臨界状態
チェルノブイリは制御棒を抜いてしまった
地熱はなぜ生まれるのか?
原子炉を構成する3つの要素〈その①〉燃料
原子炉を構成する3つの要素〈その②〉減速材
減速材としての、水と黒鉛のよい点と駄目な点
原子炉を構成する3つの要素〈その③〉冷却材

第4章 核燃料
原子炉は3要素、核兵器は1要素だけ
タンパーで押し固める
とある実験風景
ポロニウム再登場
ウランの濃縮
A‌‐‌1 ガス拡散法
A‌‐‌2 遠心分離法
A‌‐‌3 エアロダイナミクス法
B‌‐‌1 電磁濃縮法
一流の物理学者たちがつくった鉛筆の芯
B‌‐‌2‌ レーザー原子法
B‌‐‌3 レーザー分子法
C 化学法
プルトニウムの製造
プルトニウムは冥界の王
大学のフットボール球技場の下につくられた、人類初の原子炉
兵器級プルトニウム
高速増殖炉

第5章 核兵器
ガンバレル型
リトルボーイは投下直前に組み立てられた
早過ぎる爆発
アメリカで最も偉大な大統領
インプロージョン型
爆縮の仕組み
核融合を利用する水素爆弾
中性子爆弾
ブースター
究極の核兵器

おわりに

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