百貨店・デパート興亡史

梅咲恵司

江戸時代から続く「小売の王様」は、その使命を終えたのか?

定価
946円(本体860円+税10%)
ISBN
9784781651224
JANコード
1920230008609
NDC分類
673
発売日
2020年4月10日
判型
新書判  
製本
ページ数
256ページ
カテゴリー
ビジネス・経済

詳細Detail

  • 内容紹介

江戸時代から続く「小売の王様」は、その使命を終えたのか?

三越、伊勢丹、髙島屋、松坂屋、大丸、西武、東急、阪急……

変革はいつ止まったのか、再び革新は起こるのか。


江戸時代の呉服屋に起源を持ち、およそ四〇〇年の歴史を誇る百貨店。近代小売業の先駆、業界のトップとして、日本の消費文化を創ってきた。しかし、いまや経営は厳しさを増す一方で、その存在が揺らいできている。三越、伊勢丹、髙島屋、松坂屋、大丸、西武、東急、阪急……。かつて隆盛を極めた百貨店は、商品販売で、宣伝戦略で、豪華施設で、文化催事で、いかにして日本社会を牽引してきたのか。「モノが売れない」時代となり、デジタル化が進む現代において、何を武器に活路を拓くのか。「週刊東洋経済」副編集長が、その歴史と展望に迫る。



〈目次〉


序 章  「イノベーター」として君臨した百貨店 

百貨店の起源は「日本橋」にあり 

世界初の百貨店「ル・ボン・マルシェ」 

江戸の呉服店から、近代的な百貨店へ 

「都市の近代化」が百貨店を生んだ 

なぜ百貨店は「憧れの場」となったのか 

「店前現銀無掛値」というイノベーション 

小売の常識は百貨店から生まれた 

百貨店のルーツである「呉服店」 

「鉄道会社」がターミナルデパートを生んだ 

「百貨店法」という足枷 


第一章 商い――「モノ」が売れない時代に何を売るか 

百貨店の雄「三越」による商品ラインナップの拡充

意匠・図案で貿易会社としての機能を担った「髙島屋」

大衆化の動きと「関東大震災」 

なぜ「三越前駅」には社名が入っているのか 

「デパ地下」の誕生と食料品フロア 

百貨店は「衣類・ファッション」が基本 

アパレル独特の「消化仕入れ」の功罪 

「堤清二」という革新者の成功と失敗 

ショッピングセンターの先駆け「髙島屋S・C」 

「場所貸しビジネス」の収益モデル 

脱・百貨店「GINZA SIX」の登場 

「J・フロント リテイリング」の変革への意思 

「モノを売らない店」を標榜する「丸井」 

「ファッションビル」からの転換 

「モノからコトへ」というシフトへの対応


第二章 流行創出――文化の発信地にまだブランド力はあるか 

三越が仕掛けた流行「元禄ブーム」

懸賞募集の実施と、髙島屋「百選会」の発展 

「モダン」を印象づける洋風建築物

「美人ポスター」「キャッチコピー」による宣伝

「消費者参加型」という新たな広告手法

「文化展覧会」の開催が日本美術を支えた

玩具・劇・江戸・旅・海外……バラエティに富んでいく催し物

商売だけにこだわらない日本独特の催事文化

「お子様ランチ」は百貨店から生まれた

「屋上庭園」のさまざまな仕掛け

「演奏会」「音楽隊」によるエンタテインメントの充実 

顧客誘致の一環だった「宝塚歌劇団」 

新たな時代のセンスを取りこんだ「パルコ」 

斬新なイメージ戦略で街すら塗り替える


第三章 サービス――「おもてなし」は武器であり続けるか 

「接客のプロ」である百貨店の店員 

江戸から存在する社員向けの「マニュアル」 

「おかげにて安売り」という社訓

どこよりも早かった「女性店員」の採用

「花嫁修業」から「職業婦人」へ

女学生にとって憧れだった「エレベーターガール」 

女性社員を役員登用する動きも

「お帳場」「外商」の制度によって富裕層を囲い込む 

優良顧客との関係構築のために施す工夫

販路拡大としての「通信販売」「地方出張」 

小売業界でも進むEC化の波 

デジタルによる顧客管理の徹底「コンシェルジュサービス」

「EC」と「リアル店舗」の強化策 

マス・マーケティングから「カスタマイゼーション」へ 


終章 かつての「小売の王様」はどこへ向かうのか 

データの推移から振り返る百貨店 

高度経済成長と「総合スーパー」の台頭

「郊外」という立地と「ショッピングセンター」の隆盛 

ライフスタイルの変化と「コンビニエンスストア」の拡大 

バブル崩壊と業界再編 

不振にあえぐ「西武」と「そごう」の合併 

関西の両雄、「阪急」と「阪神」まさかの経営統合 

老舗中の老舗、「大丸」による「松坂屋」の救済合併 

百貨店の牽引役、「三越」と「伊勢丹」の大型統合

大再編後も続く深刻な販売不振と「地方百貨店」の崩壊

百貨店は時代に取り残されるのか

「リアル店舗」と「EC」を融合させる道

「不動産ビジネス」として活路を拓く道

 「ニッチ分野」に特化・集積させる道

ニーズに合った「ストーリー」のある販売を

進むべき道筋は自らの手で

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