人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

高槻成紀

タヌキはマヌケで、キツネはズルい!?
生態学者がひもとく動物に対する「ステレオタイプ」の起源と変遷

定価
1,870円(本体1,700円+税10%)
ISBN
9784781616612
NDC分類
481
発売日
2018年5月15日
製本
ページ数
272ページ
カテゴリー
サイエンス

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
加熱するシャンシャン・フィーバー、空前のイヌネコ・ブーム。フクロウ・カフェができたかと思えば、今度はカワウソが熱い! 現代社会でこのうえなく愛される動物がいる一方で、嫌われる動物もいる。 ヘビ、カエル、ネズミ、……。一部の好事家を除けば、一般に忌避される存在だ。 こうした個々の「動物」に対する扱いの差は、どこから生まれたのか?偏見とも思えるような「ステレオタイプ」なイメージは、本当に正しいのか? 動物の生態を守るために調査研究を続ける生物学者が解き明かす、人による「動物へのイメージ」の由来と変遷。 都市生活のなかで失われた「人と動物のあるべき関係」を探る。 本書が取り扱う主な動物 (ペット)イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ネズミ (家畜)ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ (野生動物)サル、タヌキ、キツネ、クマ、オオカミ、ヘビ (利用動物)シカ、イルカ、クジラ、アライグマ、トナカイ

高槻成紀(たかつき・せいき)
1949年鳥取県生まれ。東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。 東京大学、麻布大学教授を歴任。現在は麻布大学いのちの博物館上席学芸員。 専攻は生態学、動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べている。 著書に『野生動物と共存できるか』『動物を守りたい君へ』(ともに岩波ジュニア新書)、『タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで』(誠文堂新光社)、『唱歌「ふるさと」の生態学~ウサギはなぜいなくなったのか?』(山と渓谷社)、『都会の自然の話を聴く: 玉川上水のタヌキと動植物のつながり』(彩流社)ほか多数。
まえがき

第1章 たくさんある動物にまつわる言葉
・会話に動物が出てくる
・特徴をうまくとらえた言葉
・想像上の動物に対しての言葉
・現状ではピンとこなくなった言葉

第2章 動物のイメージはどこからきたのか?
・進化生物学的に見た好まれる動物の条件
・パンダはどうして人気者なのか?
・恐怖心や不快感が嫌われる動物を生む
・ヘビはなぜ気味が悪いのか?
・質感も好悪を左右する
・文化によって違う扱い!?
・想像上の動物はなぜ生まれたのか?

第3章 ペットとしての動物
・人と動物の関係による類型
・身近な存在であるペット
・忠実で人なつっこいイヌ
・気まぐれで孤独なネコ
・ペットの品種と処理
・可愛さを絵に描いたようなウサギ
・ネズミなのに愛されるモルモット・ハムスター
・なぜネズミは嫌われてしまうのか?
・ペットとして飼われる鳥と魚

コラム*「南極物語」は美談か?

第4章 家畜としての動物
・家畜はどのようにして生まれたのか?
・のんびりと牧歌的なウシ
・颯爽と駆けるウマ
・鼻が印象的なブタ
・モコモコの毛でおおわれたヒツジ
・ヒツジとは似て非なるヤギ
・家禽と養殖・養蚕・養蜂

コラム*反芻獣の進化の秘密

第5章 代表的な野生動物
・人によく似たサル
・間抜けでずんぐりしたタヌキ
・狡猾であやしいキツネ
・タヌキやキツネが「化かす」のはなぜか?
・巨大だけどお人好しなクマ
・身近な野鳥、不思議な野鳥

第6章 利用される「野生」動物
・本当は飼育が難しいアライグマ
・野鳥・魚・昆虫の飼育
・家畜化・養殖の試み
・観光客を呼ぶ奈良のシカ
・枝角が特徴的なシカ
・捕鯨とイルカショー
・狩猟される鳥・漁獲される魚

コラム*薬用と毛皮という利用法

第7章 動物観の変遷
・急激な人口の変化
・狩猟採集・農業・都市生活における生活の変遷
・都市生活はヒトをどう変えたか?
・時代ごとに動物観はどう変遷したか?
・民話・伝承に読み取る動物観の変遷

第8章 私たちは動物とどう向き合うか
・史実に残る「動物裁判」
・高等・下等の境界はあるか?
・都市生活がもたらす非寛容さ
・パンダ・フィーバーについて
・現代人と動物のステレオタイプ
・私たちは動物にどう向き合うか?

あとがき

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