明治維新というクーデター

星亮一

日本近代史の汚点!
欺瞞に満ちた“暴力革命”「正義の戦争」に疑義あり。
未だに続く長州閥の正体

定価
1,650円(本体1,500円+税10%)
ISBN
9784781615127
NDC分類
210
発売日
2017年2月15日
判型
四六判  
製本
ページ数
336ページ
カテゴリー
歴史・地理

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
「輝ける近代国家、明治維新150年キャンペーン」に異議あり! 
明治維新は、薩長による国家転覆闘争であり、その権力欲と血に染められたクーデターによって成立した暴力的国家であった。幕末、テロリスト集団と化した長州の浪士たちは、京の都を焼き討ちし、あらんことか禁裏に大砲を放ち、孝明天皇を拉致して、革命政権を起こさんとする暴徒であった。その時、藩主松平容保が京都守護職を務める会津藩は尽忠報国の正義の集団であり、長州は紛れもない“朝敵”だった。
攘夷派の薩長は、開国を進めていた大老井伊直弼を暗殺。過激な攘夷を嫌い、幕府・会津・桑名藩の一会桑政権を支持していた孝明天皇の急死(毒殺説あり)をきっかけに立場が逆転。薩長は倒幕、武力蜂起へ狂乱する。薩長は宮門クーデターを断行。会津に“賊軍”の汚名をきせ、悲惨極まる殺戮、乱暴狼藉のかぎりを尽くした。
いたいけな少年の首を皿に盛り、酒宴を開くことが「正義の戦争」なのか。非戦闘員の無抵抗の婦女子や老女にむかって昼夜大砲を撃ち続け、暴行殺害することが正義なのか。教科書では絶対触れない戊辰戦争、会津戦争の深層を底辺から問いただす。
“朝敵”の汚名をきせられた会津藩はその後、長州の首領・木戸孝允の陰謀によって極寒の地・斗南に挙藩流罪され、史料に記録されることのない数多くの犠牲者をだす。
政権を奪取した薩長浪士は、超法規的統帥権をつくり、天皇の名において日清・日露戦争へと軍拡する。それが昭和期の2・26事件に連なり、太平洋戦争で日本を崩壊させたことは紛れもない事実である。現代の安倍政権に連なる長州閥と明治維新以降、150年続く中央集権支配構造の深層”に迫る歴史大河ノンフィクション!


星亮一(ほし・りょういち)
歴史作家
1935年、宮城県仙台市に生まれる。東北大学文学部卒業後、福島民報社記者となる。福島中央テレビ役員待遇報道制作局長を歴任。のち作家に転じ、日本大学大学院総合社会情報研究科博士課程前期修了。『奥羽越列藩同盟』で第19回福島民報出版文化賞、戊辰戦争の研究で、NHK東北ふるさと賞を受賞。著書に、『会津落城』、『偽りの明治維新』、『会津戦争全史』、『謀略の幕末史』、『会津藩流罪』、『幕末日本のクーデター』、『東北は負けない』、『伊達政宗 秀吉・家康が一番恐れた男』、『脱フクシマ論』、『老いてこそ過激に生きよ』、『大河ドラマと日本人』など多数ある 
はじめに

序 章  会津戦争の実相

敵兵の肝を食う戦場/無抵抗の老婆を殺した長州兵の証言/
明治維新という暴力革命──会津の怨念

第一部 長州と会津

第一章  吉田松陰という虚像
影響力甚大/原点は黒船/アメリカ見聞を決意

第二章  松下村塾  長州閥の正体
攘夷派の本質/遊郭で大騒ぎ/〝暴れ牛〟高杉晋作/上海航行

第三章  至誠 会津藩
京都守護職/公武一和/天皇激怒/
会津・薩摩同盟――八月十八日の変/
近藤と土方――寝込みを襲う/天皇拉致計画/
二・二六事件との類似性/逃げの小五郎

第四章  池田屋事件
近藤駆け上がる/惨澹たるありさま/
吉田稔麿、謎の死/深雪太夫/長州狂乱――火の海となる京の都

第五章  孝明天皇の不可思議な死
天皇毒殺の噂/毒殺説の背景/
天皇毒殺――闇の帝王/
幕府瓦解――王政復古のクーデター


第二部 会津戦争の全貌

第六章  鳥羽伏見の戦い
慶喜の独断専行/激しい動揺――江戸が知らぬ大政奉還/
「身死すとも癘鬼となって奸賊を滅絶する」/
激怒する会津兵/戦争起こらず/慶喜が犯した大失敗/
銃丸雨飛――“鬼神”佐川官兵衛/西郷の驚き/
総崩れとなる旧幕府軍/慶喜逃亡――勝敗を分けた錦旗/
豚一の弱きために敗北せり

第七章  戦火東北に迫る
慶應四年春の情勢/抜擢される若き実力者・山川大蔵/
慶喜への義憤/会津藩兵制大改革/旧幕府軍からの挙兵/
新潟が生命線/高田、飯山藩の裏切り/越後危うし/
少年兵平太/大鳥圭介の参戦/日光口布陣

第八章  奥羽鎮撫総督
荒れる松島の海/決断を迫られる仙台藩/会津への使者/
容保との対面/仙台藩の決断/八百長戦争/
中山口の談判/同志千二百人連中/会津・庄内同盟/
関宿の会談/痛恨の嘆願書/白石会談/
薩長軍に立ち向かう奥羽諸藩/
九条総督との会談/世良誅殺/
奥羽越列藩同盟/北軍は勝つ

第九章  白河大戦争
白河城奪還/第一次白河戦争/官軍、大敗北/
同盟軍の無策/第二次白河戦争/
薩長軍奇襲、列藩同盟軍壊滅/
七百人の兵に敗れた二千五百余人の軍団/
地元民と兵士たちの証言/白河城奪還ならず/
仙台に厭戦気分

第一〇章 越後、磐城に戦火拡大
越後に乗り込む佐川官兵衛/
河井継之助と佐川官兵衛の衝突/
稀有の猛将/朝日山の決戦/
長岡城の攻防/生命線、新潟の陥落/
磐城侵攻さる/相馬藩降伏/
二本松落城/仙台藩兵敗走

第一一章 会津国境破れる
会津か、仙台か/母成峠の激闘Ⅰ──薩長軍の証言/
母成峠の激闘Ⅱ──会津軍の証言/城中、色を失う/
会津盆地にやすやすと侵入/無策/会津城下の殺戮/
避難民の苦難/無惨な軍事病院/士中白虎隊/
白虎隊二〇人の自刃/薩長大苦戦/少年兵の奮戦と末路/
婦女子の殉難/おびただしい自害/
戦いを選んだ女性集団/「会津に家老なし」

第一二章 会津鶴ヶ城攻防戦
山川大蔵の彼岸獅子入城/若手抜擢の大改革/
八月二九日、槍で銃弾に総攻撃/物量に勝る薩長軍/
懐に忍ばされた遺書/討死また討死/
土佐も認めた猛攻撃/天守閣から眺めれば/
横行する略奪、泣きわめく非戦闘員/
肉塊飛散/米沢藩の場合/善戦するも敗走/
列藩同盟瓦解/苦悩する仙台藩/秋田藩の裏切り/
相馬藩対仙台藩/榎本艦隊、遅すぎる到着/
勝海舟の大きな一言/主戦か恭順か/
もはや外交方に打つ手なし

第一三章 白旗をかかげて降参
籠城婦女子の証言/降参の白旗/降伏交渉開始/
降伏使を手綱で縛って連行/土佐の記述/
最後の一カ月は立派だった容保/
出遅れた山縣有朋/長州は開城に貢献できず

終 章  会津戦争の意味
犠牲者の数/「人皆、悽愴せざるはなし」/北方政権構想/
江戸の庶民は会津びいき/もし榎本が参戦していたら/
薩長一般兵士の感情/疑問視された非道な戦争/
人間性を欠く戦後処理――木戸孝允の私怨/
悲惨な陸奥生活──柴五郎の回想/
「ゲダガ」と「ハドザムライ」/挙藩流罪/
首脳陣責任の取り方──山川浩の場合/
牧場経営──広沢安任の場合/
思案橋事件──永岡久茂の場合/
西郷頼母と佐川官兵衛の晩年/問われる会津戦争とその戦後処理

おわりに
参考文献

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