コミックばかり読まないで

昼間たかし

日本のサブカルチャーよ、何処へ行く。
宮崎勤事件、オタク文化、都条例と表現の不自由、東京オリンピックと環境浄化――。
社会学者・宮台真司氏、評論家・鈴木邦男氏絶賛!

定価
1,650円(本体1,500円+税10%)
ISBN
9784781613642
NDC分類
916
発売日
2015年9月15日
ページ数
374ページ
カテゴリー
政治・社会

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
これが現代日本のルポルタージュだ。
ルポライターとは、都市の荒野を駆ける“野良犬”である。その眼の先にある種別、対象、テーマ、職業、性別、世代、有名、無名、権力、カネの有無を問わない。野良犬が追うものは、同時代の権力や制度の網からこぼれ落ちた個々の人間の本能の姿だ。
東京オリンピックの喧騒の中で、「日本のアニメやマンガは世界一」と喧伝される標語化した「クールジャパン」に潜む、半ば無意識下に既成事実化される表現規制(都条例や児童ポルノ法をめぐる表現の自由問題)、オリンピック開催による環境浄化の本質を長年の取材から、戦後日本の社会・権力の闇に照射し、鋭く抉り出す渾身の長編ノンフィクション!

昼間たかし(ひるま・たかし)
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿、取材を続ける。政治からエロまで、その取材フィールドの広さは、敬愛する元祖・ルポライターの竹中労の面影と重なる。近年『日本の特別地域 東京都足立区』をはじめとした「地域批評」シリーズを取材・執筆。東京都条例によるマンガ・アニメ・性表現規制問題を長く取材するかたわら、ゆうばり国際ファンタティック映画祭2009出品作『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』の脚本を執筆。主な著書に『日本の特別地域 東京都足立区』シリーズほかほか地域批評シリーズ。永山薫との共著作に『2007-2008 マンガ論争勃発』。『萌える名作文学ヒロイン・コレクション』等がある。
はじめに
第一章 表現の自由を語る前の小論
 東京オリンピックへの希望の中で
 猪瀬直樹との邂逅
 夕張メロンの結ぶ縁
 ロフトプラスワンとミックスナッツ
 開戦直前のバクダッド訪問団


第二章 大衆文化を包む見えない檻
 文化の俗悪性としての宮崎勤事件
 戦後日本の欲望と規制
 オリンピックによる環境浄化の過激化
 マンガ規制の主体となる時代へ
 少女ヌードに寛容だった80年代前半


第三章 表現の自由をめぐる現実
 出版業界の自主規制システム
 2010年、東京都青少年育成条例をめぐる攻防
 不健全図書指定のシステム
 出版業界と東京都の緊張感
 非実在青少年騒動とは何だったのか
他 

第四章 拡大するマンガとアニメの中で
 もはやエロは重要ではない
 アニメ界の「興行師」たち
 どちらに客が来るか勝負だ!
 Anime Japan 2014の見る夢
 不健全図書指定逃れに別会社設立


第五章 さらなる表現の旅へ
 表現をつくるという苦行の中で
 貧乏人たちの映画
 作品を支えるのは人間
 正月の中央線騒動
 若松孝二と石原慎太郎


第六章 むすびのまくら
 むかし、春歌ありて
 せめて自らに恥じなく眠れ
 やっぱり、辺境最深部に向かって退却せよ!

あとがき
解説 増田俊樹

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