悲しき歌姫 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾

大下英治

貴方が死んだら 私は死ぬけど
私が死んでも 誰も泣かない(「女は恋に生きてゆく」)
「新宿の女」、「女のブルース」、「圭子の夢は夜ひらく」、「命預けます」。
‘70年代と添い寝した演歌の星・藤圭子はなぜ、孤独な最期をとげたのか。
平成の歌姫・宇多田ヒカルとの親子2代にわたる壮絶な宿命を、哀悼を込めて描く巨艦ノンフィクション!

定価
1,650円(本体1,500円+税10%)
ISBN
9784781611105
NDC分類
916
発売日
2013年10月24日
製本
ページ数
325ページ
カテゴリー
エンターテインメント

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
作家の五木寛之は、藤圭子の演歌を「<艶歌>でも、<援歌>でもなく、正真正銘の<怨歌>である」と評した。藤圭子は、人生の辛酸を嘗めた作詞家・石坂まさをが書いた「圭子の夢は夜ひらく」にあるように、「十五、十六、十七と 私の人生暗かった」と歌い上げた。 1970年代、若者たちは失意に満ちていた。学園紛争から安保闘争へ連なる革命に敗北していた。外に向けられたエネルギーは萎み、あてどない気分に揺れていた。 戦後日本の高度成長の陰で、人々は急激な明るい変貌ぶりに不安と迷いを覚えた。 藤圭子もまた、デビュー前に、人知れぬ苦労を宿命的に背負っていた。藤圭子の抱える「負」と時代に広がる「負」が溶け合い、当時の若者たちの心を打ち、地鳴りのように響き渡ったのである。

大下英治(おおした・えいじ) 1944年広島県に生まれる。一歳のとき被爆。父を失う。苦学の末、広島大学文学部仏文科を卒業。大宅壮一マスコミ塾第七期生。1970年、『週刊文春』特派記者いわゆる“トップ屋”として活躍。圧倒的な取材力から数々のスクープをものにする。月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹久みちの野望と金脈』が大反響を呼び、三越・岡田社長退陣のきっかけとなった。1983年、『週刊文春』を離れ、作家として独立。政治、経済、芸能、闇社会まで幅広いジャンルにわたり旺盛な執筆活動を続ける。『小説田中軍団』、『小説三越・十三人のユダ』、『美空ひばり 時代を歌う』、『田中角栄と歩んだ女』、『実録 田中角栄と鉄の軍団』<全三巻>、『巨頭 孫正義』『小沢一郎の最終戦争』、『昭和闇の支配者』<全六巻>、自叙伝『トップ屋魂』)、『田中角栄秘録』ほか、著書は400冊以上に及ぶ。
序章 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾
・昭和の歌姫 藤圭子、衝撃の飛び降り自殺
・宇多田ヒカル、母への追悼
・確執
・新宿の女
・親馬鹿・藤圭子の執念
 他

第一章 私の人生、暗かった
・無芸人の子に生まれて
・もう死にてえ
・盲目の母
・ファーストチャンス
・一家で上京-野良犬にはなりたくない
 他

第二章 演歌の星「藤圭子」誕生前夜
・失望
・やり方が違うんだ
・バカだな バカだな だまされちゃって
・あなたのところでやります

第三章 「藤圭子」伝説
・「藤圭子」誕生
・伯父さんに悪いことしたなあ
・金がなけりゃ、からだだ
・夢のレコーディング
・猛烈な売り込み
 他

第四章 藤圭子、絶頂からの転落
・石坂の狂気
・命預けます
・念願の紅白初出場
・金は人を変えるのか
・圭子観音
 他
 
第五章 宇多田ヒカルの宿痾
・光って天才なのよ
・一時帰国
・石坂、病苦の中で生んだ心歌
・難産の「光」誕生
・ママ大好き、ママこわい
 他

あとがき

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