孤独の愉しみ方 森の生活者ソローの叡智

ヘンリー・ディヴィッド・ソロー 著 / 服部千佳子 翻訳

心の賛沢は、一人の時間から
孤独には、力がある。「シンプルに生きる」155のメッセージ

定価
1,430円(本体1,300円+税10%)
ISBN
9784781604572
NDC分類
937
発売日
2010年9月16日
製本
ページ数
341ページ
カテゴリー
人文・思想

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
“智恵の贈り物シリーズ”


「楽しみにお金のかからない人が、最も幸福です。」
150年の超ロングセラー
シンプルに生きる、大切な教え

孤独を愉しむ方法、人間らしく生きる方法、シンプルに暮らす大切さについて、150年前、アメリカの森の中の湖の畔で、小屋を建てて自給自足の生活をしながら遺した思索家の言葉を、わかりやすくいまに生きる人に向けて編集しました。
ガンジー、キング牧師を動かし、環境保護運動のバイブルともなり、世界を変革した言葉は「森の生活者」の孤独な時間から生まれました。心豊かに生きる秘訣がこの本には書かれています。

【著者紹介】
ヘンリー・ディヴィッド・ソロー(1817-1862)
作家、思想家。アメリカ合衆国マサチューセッツ州コンコードに生まれる。16歳のとき、奨学金を得てハーヴァード大学へ入学。大学卒業後、小学校の教師などを経て、ウォールデン湖の畔で自給白足の生活をはじめる。ギリシャ・ラテン文学やシェイクスピアをはじめとしたイギリス古典文学への深い造詣、そして自らの思索と実践から生み出された「森の生活」rコンコード川とメリマック川の一週間」など数多くの著作がある。アメリカ先住民や民俗学、博物学、生態学への関心を深め、最晩年まで膨大な原稿を書き続けた。

【翻訳者紹介】
服部千佳子(はっとり・ちかこ)
同志社大学文学部卒。翻訳家。訳書に『人間交際術』(イースト・プレス)、『ウィキッド』(ソフトバンククリエイティブ)、『虚妄の帝国の終焉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『リーダーになったら悪口は家のネコに話せ!』(中経出版)、『毎日をいい気分で生きる小さなノート』(三笠書房)などがある。
はじめに 2

 孤独が一番の贅沢
001 とびきり上等な孤独になれる時間を一日一回持つ。
002 孤独は、最もつきあいやすい友達である。
それなのに、孤独はたいてい嫌われる。自分の孤独に手を差しのべよう。
003 自分のリズムで歩くことが大切なのだ。他人の歩調に合わせようとするからつまずく。
004 誰にも出し抜かれない生き方がある。それはゆっくり歩くことだ。
005 「みんな」という言葉にまどわされてはならない。「みんな」はどこにも存在しないし、
「みんな」は決して何もしてくれない。
006 自分の服を大切にしている人間とつきあう。
007 人生が本当に素晴らしいものなのか。それは余計なものをすべて取り去ったときに見えてくる。
008 他人に認められることは必要だが、そのことばかり求める人生ではつまらない。
009 読書とは、高貴な知的訓練をすることである。
010 シンプルな食事や服のほうが、美しいと思われる。
011 新しいものに飛びつかず、古いものに立ち返る。
012 余分なものはいらない。人生の冒険に乗り出すのだ。
013 真理はいまここにある。いま、ここで生きていることを実感しよう。
014 自分のいまの生活を悪く言ってはいけない。自分の人生を愛したまえ。
015 四季との交流を楽しんでいるかぎり、人生を重荷に感じることはない。
016 本当に伝える必要のある情報かどうかを考えれば、ほとんどの情報は不要だ。
017 来ない客のために客間をつくる必要はない。
018 二度読みたいニュースはない。ほとんどが原則を知っていれば済む問題だ。
019 友はいつも通り生活の場で迎えることだ。
020 相手がやり直そうとしているのなら、その人の過ちを一度許そう。
021 理解できない相手を常識はずれと思うのは、自分が愚かだからだ。
022 野性味を持った人間を友に持ちたい。
023 虎を犬のように飼いならす理由がどこにあるのか。それは最高の利用法ではない。
024 しょっちゅう人に会いに行く。そんな習慣がたがいの尊敬心を失わせる。
025 森に行けばおおぜいの仲間に会える。みんな孤高の存在だ。
026 親密な交友を楽しもうとするなら、二人の距離は遠く離れていなければならない。
027 不平不満ばかり言っている者にこそ語りかけよう。行い一つで変えられると。
028 流行の向こう側で見え隠れする真剣なまなざしを見つめることが大切なのだ。
029 絶望ではなく勇気を、病気ではなく健康と安息を与えあうべき。
030 最も速い伝達手段が最も大切なメッセージを届けるとはかぎらない
031 迅速な会話でなく、良識ある会話を。
032 時間を味方につけたいなら、時間のことを忘れるほど何かに没頭することだ。


 簡素に生きる大切さ
033 風向きが定まらないこの世で生き抜く方法が一つある。すべてを簡素にしておくことだ。
034 生きるのに本当に必要な食べものは無理せずとも手に入る。しかし必要以上を求めると飢えに苦しむ。
035 破れた服を着たって、何一つ失うものはない。
036 最高の芸術は、その日の生活の質を高めることである。
037 生きる術は自分で見つけ出さなくてはならない。その術は経験から生まれる。
038 いますぐ生きる実験に取り組むのだ。それが生きがいにつながる。
039 死ぬ間際に人は山ほど多くの真理に気づく。財産を築いても無駄であることも知る。
040 いくつかの失敗で悩むな。人間の可能性はひらかれている。
041 自分に必要な生活を求める。僕には僕の価値がある。
042 多くの文明は宮殿を生み出したが、そこに住む理由はどこにあるのか。
043 予定通りに進まないかもしれない。でも正しい目標があればいい。
044 大人の多くは、型にはまって生きている。だから、真の可能性に気づかない。
045 謙遜すればするほど、誠実さの値打ちが高まる。
046 争いはなぜ起きるのか。必要以上に持っている人間と必要なものさえ持っていない人間がいるからだ。
047 人生は丁寧に扱わなければ、うまくいかない。
048 冒険を求めよ。夜が来たら、どこにいようと我が家のようにくつろげばいい。
049 高尚さと野蛮さが交じり合った生活を求める。
050 純潔でないヒーローも天才も聖人もいない。
051 純粋さは努力から生まれる。肉体的欲望は怠惰から生まれる。
052 知性を持ちなさい。それも、いつまでも腐らない知性を。
053 春という季節は、すべてを一度許すために巡ってくる。
054 生きづらくなるのは現状に縛られてしまうからだ。
055 貧しくても、楽しく自立して生きることはいくらでもできる。
056 富がなければ精神的に高いレベルで生きていられる。
057 現実をそのまま受け入れる。勝手なイメージを広げない。
058 どんな者にも朝は訪れる。夜明けは、絶対に見捨てない。夜明けをどんなときも信じなさい。
059 美徳と言われる行為の多くはくだらない。本当の徳を持っている人間はほかにいる。
060 自分の良心を取り戻せ。そして、自分の良心に基づいて行動したまえ。
061 共同体や組織から身を引いて超然とするのだ。
062 弱者や少数派を守れない政府は、もはや政府とは呼べない。
063 退屈するのはその中に野性がないからだ。
064 他人と同じように飼いならされる理由はどこを探してもない。
065 人間のすべてを耕してはいけない。森を残しておけ。
066 自由をもっと求めよ。本物の知識は自由になるためにある。
067 どうして単に狡猾というだけで賢人と呼べるのか。
068 自由になれるのに、自由にならないのはなぜなのか。奴隷になるために自由はあるのではない。
069 手段や道具は、真理を追究するためのものなのに、
手段や道具ばかりに夢中になる社会ができあがってしまった。
070 宇宙の法則を見つけそれに従って生きたい。賢く生きるとはそういうことなのだ。


 心を豊かにする働き方
071 生活費を稼ぐために、起きている時間のほとんどを労働に費やすのは、明らかに失敗だ。
072 機械のように働かない。人間らしく生きるために。
073 無知だという自覚を持つ。細心の注意を払って。
074 頂点を目指すうちに、自分が自分を奴隷にする奴隷監督になっていく。
075 「世間の評判」の奴隷になってしまう人間がなんと多いことか。
076 娯楽を楽しむ。そのために仕事をする。
077 新しいことをするのには古い服を着てやってみるべきだ。
078 なぜ貧しいのか。それは、家という常識にからめとられているからだ。
079 一年に六週間ほど働けば、生活費はすべてまかなえる。
080 額に汗して働く必要など、実はどこにもない。
081 協力者を求めるなら、まず信念を持て。そして、ともに生きる人を探せ。
082 自分の才能に合った仕事を選びなさい。
083 仕事のために目覚めた一日からは、得るものは多くない。朝、自分の人生を始めるために起きる。
084 人生にとって本当に必要な仕事など何もない。人生を無駄にしながら生きてはならない。
085 自分が真理に近づける仕事を選びなさい。
086 しっかりした柱を見つけて釘を打ちこむ。そんな仕事をすべき。
087 自分が糾弾している悪に手を貸していないか、じゅうぶん警戒する。
088 似ているけれど別々につくられている僕たち。仕事も、その特性を活かしてすることを考えるべきだ。
089 森を切り倒す対象として見ない。相場師の目を疑う。
090 投げこまれた石を投げ返す。仕事の多くは、実はこんな石の投げ合いである。
091 金のためだけに仕事をする者は、欺かれているか、自分を欺いているかのどちらかだ。
092 仕事とは何かをやりとげるためにするものだ。
093 愚かな人間は、自分をより高く買ってくれる人を探し続ける人生を送る。
094 今日から、お金にならなくても本当の仕事を始めよう。今日生きるためだけの仕事をやめて。
095 どんな仕事をするのであれ、生活に余白をたっぷり取っておきたい。
096 雑草が茂っていることも喜ぶべきではないだろうか。くよくよするのはやめにしよう。
097 硬くなった手のひらに触れられると胸が高鳴る。
098 森の中へ入り、仕事のことを忘れる。深みにはまらない。

 持たない喜び
099 人間は自分がつくった道具の道具になってしまった。
100 隣人が持っているからといって、家を買う必要はない。
101 詩はどこから生まれるか。それは自分の手で家を建てることからである。
102 実際に存在する世界だけを見つめればいま抱えている不安はすぐになくなる。
103 あやふやな自由のために働くなら、いますぐ詩人になろうではないか。
104 多くを持てば急所をしめつけることになる。
105 手段は進歩しても、達成すべき目標は進歩していない。
106 資産は必ずしも人生を楽しいものにしてくれるわけではない。
107 働くだけ損である。なぜなら、あなたは人生に満足できず、そのうえ人生を無駄使いしているのだから。
108 茶やコーヒーが自由に飲めるからといって、得をしているわけではない。
109 簡素な生活をする気になれば、もっと楽しい生活が始まる。
110 所有はするな。生計を立てることを商売とせず、それを遊びとせよ。
111 食べものを味わう。大食家にはならずに。
112 家を持たず、また食べすぎることもなければ、働く必要もない。
113 金持ちになったら徳を失う。失わないためには、貧しかった頃に計画したことを実行することだ。
114 労働は楽しみである。もし欲望がふくれあがらなければ。
115 くじ引きで大金を引き当てるような社会から遠ざかる。
116 年長者だからといって、その意見をうのみにしてはならない。
117 金メッキは、ひと粒の知恵にはおよぶまい。


 自然の教え
118 湖は人生よりはるかに美しく、人間性よりはるかに透明である。
119 自然の中で暮らせるというのは利益なのである。その利益は万人にひらかれている。
120 閉じこもるための家や部屋はいらない。閉じこもりたければ、野生の鳥がいる自然の中にいればいい。
121 宇宙はこの地球上にもたくさんある。僕はそんな宇宙の片隅で暮らしていた。
122 朝、早起きして池で水浴びをする。
123 朝を大切にしなさい。朝は活力をくれる。
124 心の中にいつも夜明けを持つ。常に朝の気持ちでいる。
125 森は、人生と向き合える場所なのだ。
126 軌道はすでに敷かれているのだ。それならば、一生を思索に費やそうではないか。
127 自然と同じように生きよう。それは、とても豊かな時間をもたらしてくれる。
128 死ぬときには、体の鳴る音を聞こう。生きているのであれば、なすべき仕事に取りかかろう。
129 自然にまかせた平穏な一日を過ごす。
130 人間が生み出す音を遠ざけよ。そうすれば、自然なメロディーが耳に届く。
131 牛の鳴き声さえも歌のように、やがて聞こえてくる。
132 たとえ雨が降り続いて、ジャガイモが駄目になったりしても、
高地の草には恵みの雨。僕にとっても恵みだろう。
133 雨の音と交流する。やさしくて慈悲にあふれた交流を。
134 嵐の日にこそ心が慰められる。思想の根が張り、大きくふくらんでいく。
135 僕たちが住むこの地球も、宇宙の中ではほんの小さな点にすぎない。
136 神と天国に一番近い場所。そこは、ウォールデンという湖のほとりだ。
137 人間も動物も湖を愛する気持ちは変わらない。
138 薪は、二度も体を暖めてくれる。これほど効率のいい燃料はほかにない。
139 冬の夜、湖はうめき声をあげる。
140 森に住んで飽きることはない。動物たちが僕を楽しませてくれる。
141 自然は、僕たちの問いに何も答えない。
142 森で暮らせば、春の訪れを見る機会と余裕が持てる。
143 春に顔をのぞかせて野草たちは美しい。
144 春、それは混沌から生まれる宇宙。
145 僕たちには野性という強壮剤が必要だ。
146 僕たちは英気を回復せねばならない。人間の限界が超えられる瞬間を見て。
147 無数の命が犠牲になっても、自然は余裕だ。
148 歩け、森の中を。歩かない足は、やがて身を滅ぼす。
149 行き先を考えずに歩く。そうすれば、自然と正しい方向へ導かれる。
150 最も生命力にあふれているのは、最も野性的なものだ。
151 英気を養うために沼地を探す。そこには自然の力、自然の精気がみなぎっている。
152 風景の中に美と秩序がある。
153 自然に教えを乞えばうまくいく。
154 自然の一部となれば、息が詰まるほどのメッセージが森全体から伝わってくる。
155 森の生きものたちが刻むリズムが、森の中で暮らしていると見えてくる。

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