『中野正彦の昭和九十二年』回収について

2022.12.22 お詫びと訂正

 弊社「中野正彦の昭和九十二年」(12月15日搬入)の刊行及び回収について大変お騒がせしております。当該書籍についてですが、その内容の表現手法の個性から、出版にあたりしっかりとした社内議論が必要であると考えます。しかし、今回刊行に至るプロセスにおいて社内で確認すべき法的見解の精査や社の最終判断を得ることを行っておりませんでした。同時に刊行時においても契約書の締結が終了しておらず、刊行における責任の所在が曖昧だということが発覚しましたので、社内協議の上、回収対応といたしました。


 社内決裁に対する現場の認識の甘さと怠慢が招いたことであり、著者樋口毅宏氏にとっても驚かれたことと理解いたします。大変申し訳ございませんでした。今後、直接詳細をご説明させていただきます。編集担当者と上長には、その責任を改めて認識させ二度とこのようなことがないように注意指導すると共に社内規定に則った対応を行って参ります。


 また、別の社員が社内で知り得た情報について、個人の考えを当該書籍刊行前に自身のTwitterに公開したことで、社内外たくさんの方々よりご心配の声をいただきました。思うことがあったとはいえ、あのような一方的な言動が正しかったのか、著者や言われた側はもとよりこの件に関係のない他の社員、弊社に関わる様々な方々の業務にも影響が及ぶとの想像力がなかったのかと考えます。当該社員の行動に至った経緯を検証した上でこちらも社内規定に則った対応を行って参ります。


 今回の事態は、ひとえに一部社員の出版社に身を置くものとしての自覚の欠如、業務に対する意識の低さ、それを是正できなかった社のガバナンスの甘さが要因となっております。社の代表として改めて今の時代の出版社の在り方、編集者としての責任の深さを強く認識させていかねばとの思いでおります。書籍回収作業においては、取次・書店の皆様方にも多大なるご迷惑をお掛けして申し訳ございません。「中野正彦の昭和九十二年」に関わるすべての皆様方に深くお詫び申し上げます。



2022年12月18日

株式会社イースト・プレス

代表取締役 永田 和泉