大阪ヤクザ戦争の全貌

木村勝美

ヤクザ史に刻まれる大抗争
6人の男たちの栄光と破滅

定価
880円(本体800円+税10%)
ISBN
9784781671062
JANコード
1920136008000
NDC分類
368
発売日
2014年4月8日
判型
文庫判  
製本
ページ数
248ページ
カテゴリー
ノンフィクション
シリーズ
文庫ぎんが堂

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
昭和50年から約3年にわたり激しい報復戦が繰り広げられた山口組と松田組による「大阪戦争」。この抗争は同時に多くのヤクザたちの極道人生の転機ともなった。独断の和解工作で絶縁された菅谷政雄、暗殺された大日本正義団会長・吉田芳弘、抗争を陰から操った宅見勝、田岡三代目を撃ったヒットマン・鳴海清、抗争終結に導いた山本健一若頭、そして松田組組長・樫忠義……6人の男たちに焦点を当てながら、ヤクザ史に残る大抗争の全貌に迫る。

木村勝美(きむら・かつみ)
1939年、東京都生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1986年『新宿歌舞伎町物語』(潮出版)で潮賞ノンフィクション部門最優秀賞を受賞。著書に『シノギ』『山口組若頭暗殺事件』『武富士対後藤組』(イースト・プレス)、『さらば山口組』『極道の品格』(メディアックス)など多数。
序章 大阪戦争勃発

第一章 山口組・菅谷政雄若頭補佐
──独断の和解工作で絶縁された男

1 和解工作
末端組織同士の抗争から報復に次ぐ報復の銃撃戦へ
面子と面子のぶつかり合いで和解工作は暗礁に乗り上げた
山口組主流派からあがりはじめた菅谷に対する批判の声
2 国際ギャング団
敗戦直後の神戸で、田岡三代目との運命的な出会いを果たす
大胆不敵、神出鬼没。2度にわたり脱獄を繰り返した
3 ダンディズム
菅谷組の旗揚げ後、山口組で初となる関東への進出
突出した資金力を作った菅谷組の直参と企業舎弟の面々
4 絶縁
極道人生が狂いはじめた若衆への降格処分
シノギをめぐるバッティングから菅谷組内の内紛問題へと発展
「タマを取ったろやないか」破門にした川内組長の暗殺計画
極道にとって死刑を意味する絶縁処分がついに宣言される

第二章 大日本正義団・吉田芳弘会長
──日本橋事件で暗殺された男

1 暗殺チーム
「あれはどうなってるんや」面子に賭けて報復を急ぐ山口組
選抜した腕利きのヒットマンで吉田芳弘暗殺チームを編成
2 結社
三島由紀夫の憂国の檄に刺激を受けて大日本正義団が誕生
暫定措置として就任した大日本正義団トップの座
3 困窮
早朝から重い荷車を引く毎日
深まる団員との対立……あらゆる犯罪に手をそめる極道集団と化す
4 電気街
背後から標的に忍び寄るふたりのヒットマン
吉田会長の遺体の眠るベッド脇で土下座して号泣した「あの男」

第三章 ヒットマン・鳴海清
──田岡三代目を撃った男

1 常連客
ターゲットは「田岡三代目」……即座に“返し”へと動きはじめた
田岡三代目襲撃を狙い週に1度のベラミ通い
2 復讐
勉強嫌い、成績は最下位、中卒で印刷工になるも2年で退職
20歳で大日本正義団に出入りし会長のボディガード兼運転手に
3 雷雨
鳴海の極道人生を変えた運命の瞬間
田岡組長の頭部に照準を合わせ、鳴海は引き金を静かにしぼった
4 ビデオテープ
山口組の追っ手をまいた鳴海、結論の出ない逃走計画
田岡三代目暗殺に執念をたぎらせる鳴海
山口組本部に送られてきたモノクロのビデオテープ

第四章 山口組・宅見組宅見勝組長
──抗争を陰から操った男

1 功名心
公開された鳴海の手紙で油が注がれた山口組組員たちの怒り
直参になって半年の宅見組長に必要だった大物の首
おさまる気配をみせない山口組による怒りの報復攻撃
2 鬼の4課
府警捜査4課が見つけた引きネタと宅見組長の逃亡生活
「わしらに落とせんかった極道は、ヤマケンとおまえだけや」
経済ヤクザとして強調される宅見組長の、武闘派としての一面
3 昇格
吉田芳弘会長の動向をいち早くキャッチした宅見組の情報網
直参昇格後におとずれた田岡三代目狙撃事件
4 会見
「面子の立つ抗争収束案」として生まれた」方的抗争終結宣言
宣言文の取りまとめで評価され、本部長補佐のポストに抜擢

第五章 山口組・山本健一若頭
──抗争を終結させた男

1 収監
テレビニュースをみた警察が山本若頭の身柄拘束に動きはじめた
田岡三代目の意向を知ったその日、執行官がマンションに訪れた
2 忠実
最初のシノギは神戸・新開地で映画の切符をさばくことだった
山本健一の極道人生に箔をつけた鶴田浩二襲撃事件
田岡組長に常に忠実であり続け、ついに山健組を旗揚げ
3 平穏
九州での抗争の現地指揮と広島代理戦争での奔走
組長のためには家まで処分……広島戦争のさなかに若頭補佐に抜擢
4 執行停止
壊滅を目指す兵庫県警の執念で山口組は最大のピンチに
拘留期間中の山本若頭をシャバにもどすという宅見の思い
幻の四代目となった“日本一の子分”山本健一の最期

第六章 松田組・樫忠義組長
──組織を解散した男

1 ハネッ返り
週刊誌記者のインタビューに応じた松田組の最高幹部
2 博徒
松田組の系譜は飛田遊郭周辺の博徒らによってはじまった
大和川の河原での決闘で策略に引っかかり警察に売られた
二代目を継いだ樫忠義は「反山口組」の関西二十日会に加盟
3 終結
大半の組員にとって寝耳に水だった樫忠義組長の抗争終結宣言
4 ギアチェンジ
そして時は平成へ……真夏に大和川で発見された首なし死体
極道とはきっぱりと緑を切ってふたつの会社を発展させていた
「平穏に暮らしていたのに……」山口組と4年も闘った男の最期

あとがき

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