清和会秘録
「安倍晋三と岸信介」の点と線。――「安保改定と憲法改正」反対闘争という空気の酷似。
- 定価
- 998円(本体907円+税10%)
- ISBN
- 9784781650586
- JANコード
- 1920230009071
- NDC分類
- 315
- 発売日
- 2015年10月8日
- 判型
- 新書判
- 製本
- 並
- ページ数
- 368ページ
- カテゴリー
-
政治・社会
詳細Detail
- 内容紹介
- 目次
清和会(現・清和政策研究会)は、安倍晋三首相が後継者であることを自認する祖父・岸信介元首相の十日会(岸派)を源流とし、大蔵省主計局長出身の当時の自民党の領袖・福田赳夫を中心に一九七九年に結成された。
一九七二年、田中角栄と福田がポスト佐藤栄作を争う激しい派閥抗争いわゆる「角福戦争」が勃発した。闇将軍・田中角栄から竹下派(経世会)による政治的差配が、一九七〇年代前半から一九九〇年代にかけて長く続き、清和会は傍流に追いやられる。
しかし、二〇〇〇年に森喜朗が政権の座に就くと、その後、同派閥出身の小泉純一郎が圧倒的支持を集めて小泉旋風を巻き起こす。郵政民営化に象徴される「聖域なき小泉改革」のその実は、経世会の利権潰しにあった。その後継に安倍晋三、福田康夫が政権の座に就き、四代続けて総理を輩出し、自民党最大派閥となる。
民主党からの政権奪取を経て、人相までも祖父・岸信介に似てきたと言われる安倍首相が目指すのは、安保改定とその先にある自主憲法制定である。皮肉なことに、日米安保改定をなした岸元首相が退陣に追い込まれたのは、怒れる若者たちが安保改定阻止に胎動した「六〇年安保闘争」に起因する。半世紀以上の時を経て、国会前に集まる「怒れる若者たち」の空気と行動は酷似している。
五人の総理・総裁を輩出した現代の自民党最大派閥「清和会」の深層に、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫の総理経験者をはじめ自民党最高幹部の証言インタビューから迫る、政界ノンフィクション!
大下英治(おおした・えいじ)
1944年広島県に生まれる。1 歳のとき被爆。父を失う。苦学の末、広島大学文学部仏文学科を卒業。大宅壮一マスコミ塾第七期生。1970年、『週刊文春』特派記者いわゆる“トップ屋”として活躍。圧倒的な取材力から数々のスクープをものにする。月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹久みちの野望と金脈』が大反響を呼び、三越・岡田社長退陣のきっかけとなった。1983年、『週刊文春』を離れ、作家として独立。政治、経済、芸能、闇社会まで幅広いジャンルにわたり旺盛な執筆活動を続ける。『小説電通』でデビュー後、『実録 田中角栄と鉄の軍団』、『美空ひばり 時代を歌う』、『小沢一郎の最終戦争』、『昭和闇の支配者』〈全六巻〉、自叙伝『トップ屋魂』、『悲しき歌姫 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾』(イースト・プレス刊)、『田中角栄秘録』、『児玉誉士夫闇秘』、『日本共産党の深層』、『公明党の深層』、『内閣官房長官秘録』、『田中角栄 権力の源泉』、『孫正義秘録』、『小泉純一郎・進次郎秘録』(以上、イースト新書)等、著書は450冊以上に及ぶ。
一九七二年、田中角栄と福田がポスト佐藤栄作を争う激しい派閥抗争いわゆる「角福戦争」が勃発した。闇将軍・田中角栄から竹下派(経世会)による政治的差配が、一九七〇年代前半から一九九〇年代にかけて長く続き、清和会は傍流に追いやられる。
しかし、二〇〇〇年に森喜朗が政権の座に就くと、その後、同派閥出身の小泉純一郎が圧倒的支持を集めて小泉旋風を巻き起こす。郵政民営化に象徴される「聖域なき小泉改革」のその実は、経世会の利権潰しにあった。その後継に安倍晋三、福田康夫が政権の座に就き、四代続けて総理を輩出し、自民党最大派閥となる。
民主党からの政権奪取を経て、人相までも祖父・岸信介に似てきたと言われる安倍首相が目指すのは、安保改定とその先にある自主憲法制定である。皮肉なことに、日米安保改定をなした岸元首相が退陣に追い込まれたのは、怒れる若者たちが安保改定阻止に胎動した「六〇年安保闘争」に起因する。半世紀以上の時を経て、国会前に集まる「怒れる若者たち」の空気と行動は酷似している。
五人の総理・総裁を輩出した現代の自民党最大派閥「清和会」の深層に、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫の総理経験者をはじめ自民党最高幹部の証言インタビューから迫る、政界ノンフィクション!
大下英治(おおした・えいじ)
1944年広島県に生まれる。1 歳のとき被爆。父を失う。苦学の末、広島大学文学部仏文学科を卒業。大宅壮一マスコミ塾第七期生。1970年、『週刊文春』特派記者いわゆる“トップ屋”として活躍。圧倒的な取材力から数々のスクープをものにする。月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹久みちの野望と金脈』が大反響を呼び、三越・岡田社長退陣のきっかけとなった。1983年、『週刊文春』を離れ、作家として独立。政治、経済、芸能、闇社会まで幅広いジャンルにわたり旺盛な執筆活動を続ける。『小説電通』でデビュー後、『実録 田中角栄と鉄の軍団』、『美空ひばり 時代を歌う』、『小沢一郎の最終戦争』、『昭和闇の支配者』〈全六巻〉、自叙伝『トップ屋魂』、『悲しき歌姫 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾』(イースト・プレス刊)、『田中角栄秘録』、『児玉誉士夫闇秘』、『日本共産党の深層』、『公明党の深層』、『内閣官房長官秘録』、『田中角栄 権力の源泉』、『孫正義秘録』、『小泉純一郎・進次郎秘録』(以上、イースト新書)等、著書は450冊以上に及ぶ。
はじめに
「安倍晋三と岸信介」の点と線
満州建国、A級戦犯、公職追放、政界復帰
安保改定─国家のためなら悪も許される
第一章 角福戦争と清和会
角福戦争と清和会の精神
福田赳夫さんは理想家だな
日本列島改造論を撤回する
椎名裁定と三木おろし
総理就任と「福田ドクトリン」
天の声も時には変な声を出す─清和会結成
第二章 悲劇のニューリーダー安倍晋太郎
善人・安倍晋太郎
中曽根裁定─「竹さん先にやれよ」
「安倍君はおれより激しいよ」
このまま野垂れ死にしてなるものか
非業の死─安倍・ゴルバチョフ会談
第三章 平成の清和会─傍流から主流へ
派閥の離合集散史
四代連続、総理を輩出
小渕総理倒れる─密室の謀議?
森内閣発足
神の国発言
伝家の宝刀とガンとの闘い
加藤の乱と小泉純一郎
ロシアに対する思いは本気だぞ
加藤の乱鎮圧
日露交渉─わたしはあなたとやりたいんだ
小泉旋風─わたしが自民党をぶっ壊す
小泉「官邸主導」人事─脱経世会支配
各論に迫る〝聖域なき構造改革〟
田中眞紀子外相更迭
日朝交渉
「反小泉」野中広務引退
小泉純一郎と公明党
信長・小泉の本領─郵政民営化
あんた、変人以上だよ
女性刺客
総選挙戦略
小泉外交
第四章 最大派閥・清和会の苦悩
第一次安倍政権発足
静観をしろ
町村派へ─森喜朗の気くばり
復党問題
鳴り物人事の挫折
特オチ
事務所費問題─松岡農相自殺
参院選惨敗
職責にはしがみつかない
第一次安倍内閣退陣
福田先生しかいない
オール福田支持
福田康夫の述懐
親子二代総理
大連立構想
大連立を拒む空気
退陣表明
派閥に帰ればいいじゃないか
清和会内部のしこり
第五章 第二次安倍政権と清和会
菅義偉、安倍晋三を口説く
町村か安倍か
安倍さんが勝つ
安倍晋三返り咲く
安倍晋三が語る「憲法改正」
陛下の権威は、日本の権威
原発は手離すべきではない
菅義偉の「胆力」
安倍はタカ派か
支持率のことはいい
河野談話検証
小泉元総理の「原発ゼロ」宣言
集団的自衛権行使容認
電撃解散
町村派から細田派へ
安保法制への異論
若手勉強会の失言
安保法制を巡る論議
砂川判決
原発は環境汚染産業だ
戦後七〇年「安倍談話」の舞台裏
訪中見送り
安倍支持一色
怒号飛び交う「安保法案」強行採決
池田勇人路線で行く
沖縄との対立
中国と当たり前の関係構築を
清和会イズムは脱派閥
第二次安倍政権と清和会
あとがき
「安倍晋三と岸信介」の点と線
満州建国、A級戦犯、公職追放、政界復帰
安保改定─国家のためなら悪も許される
第一章 角福戦争と清和会
角福戦争と清和会の精神
福田赳夫さんは理想家だな
日本列島改造論を撤回する
椎名裁定と三木おろし
総理就任と「福田ドクトリン」
天の声も時には変な声を出す─清和会結成
第二章 悲劇のニューリーダー安倍晋太郎
善人・安倍晋太郎
中曽根裁定─「竹さん先にやれよ」
「安倍君はおれより激しいよ」
このまま野垂れ死にしてなるものか
非業の死─安倍・ゴルバチョフ会談
第三章 平成の清和会─傍流から主流へ
派閥の離合集散史
四代連続、総理を輩出
小渕総理倒れる─密室の謀議?
森内閣発足
神の国発言
伝家の宝刀とガンとの闘い
加藤の乱と小泉純一郎
ロシアに対する思いは本気だぞ
加藤の乱鎮圧
日露交渉─わたしはあなたとやりたいんだ
小泉旋風─わたしが自民党をぶっ壊す
小泉「官邸主導」人事─脱経世会支配
各論に迫る〝聖域なき構造改革〟
田中眞紀子外相更迭
日朝交渉
「反小泉」野中広務引退
小泉純一郎と公明党
信長・小泉の本領─郵政民営化
あんた、変人以上だよ
女性刺客
総選挙戦略
小泉外交
第四章 最大派閥・清和会の苦悩
第一次安倍政権発足
静観をしろ
町村派へ─森喜朗の気くばり
復党問題
鳴り物人事の挫折
特オチ
事務所費問題─松岡農相自殺
参院選惨敗
職責にはしがみつかない
第一次安倍内閣退陣
福田先生しかいない
オール福田支持
福田康夫の述懐
親子二代総理
大連立構想
大連立を拒む空気
退陣表明
派閥に帰ればいいじゃないか
清和会内部のしこり
第五章 第二次安倍政権と清和会
菅義偉、安倍晋三を口説く
町村か安倍か
安倍さんが勝つ
安倍晋三返り咲く
安倍晋三が語る「憲法改正」
陛下の権威は、日本の権威
原発は手離すべきではない
菅義偉の「胆力」
安倍はタカ派か
支持率のことはいい
河野談話検証
小泉元総理の「原発ゼロ」宣言
集団的自衛権行使容認
電撃解散
町村派から細田派へ
安保法制への異論
若手勉強会の失言
安保法制を巡る論議
砂川判決
原発は環境汚染産業だ
戦後七〇年「安倍談話」の舞台裏
訪中見送り
安倍支持一色
怒号飛び交う「安保法案」強行採決
池田勇人路線で行く
沖縄との対立
中国と当たり前の関係構築を
清和会イズムは脱派閥
第二次安倍政権と清和会
あとがき