天皇にとって退位とは何か

本郷和人

「生前退位」で、いったい何が起こるのか?
皇室と日本の未来を考える上で必読の書!

定価
1,540円(本体1,400円+税10%)
ISBN
9784781615066
NDC分類
288
発売日
2017年1月17日
製本
ページ数
224ページ
カテゴリー
ビジネス・経済

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
「生前退位」で、いったい何が起こるのか。「お気持ち」の核心はどこにあるのか。そして、日本人にとって天皇とは何か。2016年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の発表、同年9月23日の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の設置で皇室の今後に注目が集まっている状況を、テレビで人気の歴史学者が徹底分析。皇室と日本の未来を考える上で必読の書。

本郷和人(ほんごう・かずと)
1960年東京生まれ。東京大学史料編纂所教授。文学博士。東京大学、同大学院で石井進氏、五味文彦氏に日本中世史を学ぶ。中世政治史、古文書学専攻。『大日本史料』の編纂に携わる。著書に『中世朝廷訴訟の研究』(東京大学出版会)、『新・中世王権論』(新人物往来社)、『天皇はなぜ生き残ったか』『戦国武将の明暗』『戦国夜話』(新潮新書)、『天皇はなぜ万世一系なのか』『謎とき平清盛』(文春新書)、『天皇の思想』(山川出版社)など多数がある。
はじめに 歴史学者の目から見た「生前退位」への見解
第一章 なぜ、天皇は「生前退位」を決意したのか
 あまりにも多忙すぎる現代の天皇陛下
 「国民の総意」に訴えるお気持ち表明
 なぜ「摂政」を希望されないのか
 天皇陛下は皇室典範の改正をお望みなのか
 そもそも天皇は自分の意思で退位できるものなのか
 現行制度では秋篠宮さまは皇太子になれない
 子ども以外が後継者になった歴史的事例
 なぜ現代日本は「終身天皇」を必要としたのか
 天皇の「すり替え」を恐れた明治政府
 戦前の天皇が「象徴」から「権威」に変わった瞬間
 明治の元勲たちの失われた天皇観
 「天皇機関説」から見た天皇の位置づけ
 世界の王室における「生前退位」とは
第二章 天皇にとって「退位」とは何か
 じつは終身天皇のほうがめずらしかった
 初めて「生前退位」した男性天皇が抱えた事情
 藤原氏の台頭と、いったん民間人になった天皇
 「天皇」と「上皇」の関係はどんなものだったのか
 鎌倉時代に定番化した「生前退位」
 「生前退位」が許されなかった戦国の天皇
 織田信長と豊臣秀吉の出現で復活した「生前退位」
 政治権力と無関係になった江戸時代の皇位
 「生前退位」の四つのパターンと、その終焉
第三章 天皇にとって「お務め」とは何か
 みずから鷹狩りを行った古代の大王
 古代の大王の「権威の源泉」とは
 蘇我氏の滅亡による「天皇」の誕生
 「ひとつの言語、ひとつの民族、ひとつの国家」
 天皇の地位が盤石だからこそ出現した藤原氏
 「政争の具」と化した中世の天皇
 「招婿婚」の藤原氏から「嫁取り婚」の武家へ
 「天皇家の家長」としての上皇
 鎌倉幕府が構築した「治天の君」指名システム
 南北朝の動乱でも天皇家が滅びなかった理由
 「土地領有の担保」としての天皇の存在
 天皇を必要とした豊臣秀吉
 天皇を必要としなかった徳川家康
 なぜ「外圧」が天皇の復活を呼んだのか
 「大政奉還」という大きな誤解
第四章 日本人にとって「天皇」とは何か
 天皇が持つ「権力」と「権威」
 天皇が庶民から忘れ去られた時代
 天皇の再発見を促した「儒学」の発展
 ナショナリズムの誕生と尊王攘夷
 「将軍びいき」の江戸から「天皇びいき」の京都へ
 明治天皇は本当に「専制君主」だったのか
 近世以前の日本人は「天皇」をどう見ていたか
第五章 天皇と日本人にとって「万世一系」とは何か
 「万世一系」と「日本人」であることの意味
 「最大のピンチ」をどう乗り越えたか
 急ごしらえだった北朝の「三種の神器」
 「天皇家の血脈」と「武家の血脈」の違いとは
 「世襲好き」の日本で世襲を排した明治政府
 独裁者が現れないのは天皇のおかげなのか
 じつは弾力的に運用されていた「先例主義」
 現代日本で「生前退位」は何を引き起こすのか
 「政治的利用」の危険性はどこにあるのか
 「お妃」の複雑なお立場
 なぜ「女性天皇」は問題視されるのか
 「伝統」を考えるうえで忘れてはならないこと

巻末付録
 付録①天皇系図
 付録②歴代天皇の在位年、生没年
 付録③退位した天皇の退位理由一覧
 付録④象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば
 付録⑤日本国憲法の天皇に関する条文
 付録⑥皇室典範全文
 付録⑦大日本帝国憲法の天皇に関する条文
 付録⑧旧皇室典範全文

参考文献

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