元少年Aの殺意は消えたのか 神戸連続児童殺傷事件 手記に見る「贖罪教育」の現実

草薙厚子

元東京少年鑑別所法務教官が手記の行間から読み解く「更生システム」の落とし穴と発達障害の可能性

定価
1,430円(本体1,300円+税10%)
ISBN
9784781613567
NDC分類
327
発売日
2015年8月17日
製本
ページ数
191ページ
カテゴリー
政治・社会

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
なぜ『絶歌』は「2500日」を描かなかったのか。-2015年6月に「元少年A」の名で手記『絶歌』を刊行し、世間の耳目を集めた「酒鬼薔薇聖斗」。しかし、本当に反省しているのか、その「性的サディズム」が本当に克服されたのか疑問視する声も多い。事件以来18年間「元少年A」を取材し続けた元東京少年鑑別所法務教官が、手記の記述をもとに徹底解析する。

草薙厚子(くさなぎ・あつこ)
元法務省東京少年鑑別所法務教官。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、ジャーナリスト、ノンフィクション作家として執筆するほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。2007年5月に刊行された『僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実』(講談社)は、少年の供述調書の扱いをめぐって物議を醸し、現在でも入手不能となっている。
はじめに 『絶歌』から感じた「違和感」の正体 

第一章 元少年Aが「矯正教育」を書かなかった理由
わずか四行しかない「矯正教育」の記述 
私が『2500日全記録』に記した矯正教育の全容 
元少年Aによって欺かれていた精神鑑定 
真っ向から否定された「母親原因説」 
精神鑑定と矯正教育への疑念 

第二章 元少年Aの「贖罪意識」と「自己肯定」
巻末の「謝罪文」に漂う違和感 
「後悔」はしても「贖罪意識」はない 
殺害の記述に見る「贖罪意識」の欠如 
ガンジーやゲバラを自分と同一視する発想 
太宰治の『人間失格』を模倣した自己演出 
美化された殺害の「動機」 
手記は「強者に見せるためのツール」にすぎない 

第三章 元少年Aの「性的サディズム」は矯正されたのか
裁判所が認定した「性的サディズム」 
未発達だったAの性的中枢 
なぜ猫の虐殺シーンを克明に描写したのか 
なぜ「頭部」に異常にこだわったのか 
「性欲」と「サディズム」が融合した瞬間 
「自分が苦しむから人を殺すべきじゃない」という論理 
父親の涙に対する「ありえない」分析 
「直観像能力」と犯行の関係 

第四章 元少年Aの「広汎性発達障害」が見落とされた理由
事件の原因は「心」ではなく「脳」にあった 
残酷なホラー映像を好むという特性 
じつはAが広汎性発達障害と知っていた医療少年院 
広汎性発達障害が「封印」された理由 
少年事件は「心の闇」だけでは解明できない 
進まない再犯防止のためのサポート 

第五章 『絶歌』をめぐる議論を検証する
被害者遺族や支援者は"どこ"に怒っているのか
出版されるまでの複雑怪奇な経緯 
元週刊誌編集長が指摘する手記の問題点 
なぜ元少年Aは「匿名」にこだわったのか 
「加害者の手記出版」は許されることなのか 

おわりに 加害少年を「浦島太郎」にしない社会をつくるために 
参考文献 

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